まちづくり塾 開催中!~北区まちづくりセンターの取り組み~

 

古くから小学校区の振興町会などの住民組織で行われてきた地域活動。子供が小学校に入学してはじめて、地域のことに興味を持ち、活動に参加してはみるものの、卒業すればひとは地域から離れていく。働く女性が増え、少子高齢化が進み、家族のかたちが多様化していく中で、地域とのかかわりはもはや「時代遅れ」のものとなってしまったのだろうか――

 

こうした状況をうけて、大阪市では平成24年度から、「地域活動協議会」の設立をすすめている。「地域活動協議会」とは、これまでそれぞれの自治組織(自治会、女性会、町会、PTAなど)ごとに縦割りで行われていた地域活動に、学校や、企業、NPOなどが参入しやすいように作られた、より大きな共同体である。大阪市は地域活動協議会の形成と運営支援のため「まちづくりセンター」という中間支援組織を各区設置し、北区においては北区社会福祉協議会とりそな総合研究所㈱の共同体がまちづくりに関するさまざまな事業を陰ながらサポートしている。北区ではおおむねかつての小学校区である19の地域に分かれているが、現在、18の地域に形成され、まちづくりセンターとともに地域活動の活性化を模索中だ。

 

北区まちづくりセンターでは昨年の11月から「まちづくり塾2015~ナポレオンの村に続け!!」と題して、地域の事業者やNPO、地域団体を対象にした講座を開いている。講座では、地域活動や企業の取り組みを紹介し、グループに分かれてひとつのテーブルを囲み「協働」について語り合う。各地域の特色に応じ、それぞれの得意な分野を生かして、技術や能力を持ち寄ると、どのようなことができるのか、互いに知恵をしぼりあって考えていくという内容だ。企業、事業所が参加することで、地域住民のみで話し合ってきた従来よりもさらにダイナミックに活動できることが期待されている。

 

その他にも、異分野のひと同士が交流できる「異次元交流ライブ」を催したり、地域活動協議会の会議運営、会計処理、広報などの手助けをしたりなど、その取り組みは多岐にわたる。まちづくりセンターの友田智子さんは「それぞれの地域では、すでにいろいろな取り組みをされています。私たちはあくまでも『中間支援』として、それぞれの自律的な地域運営を後押しできたらと思っています。」という。二〇一五年は、堀川地域の清掃のイベント「HORIKAWAエコ☆スカ」、北天満のまち歩きツアーなどを通して、新旧の「ひと」の力を結集することで「協働」の事例が少しずつできてきた。今後は、建設が相次ぐタワーマンションなどの新住民に気軽に地域のイベントや活動に参加してもらえるように、既存のコミュニティが多様なかかわり方を寛容に認めていくことが課題だ。

 

 時代に応じて、「コミュニティ」のかたちも徐々に変わりつつある。個人や家族という「家」の中だけで生活することは、確かに気楽であり充実した喜びがあるが、一方で自分の問題を自分だけで抱え込むことにもつながる。一人で抱え込みすぎることが問題なのだ。適度に外に吐き出し、少しは周囲に依存しながら、自分の居場所は、自分で作っていかなければならない。自分が認められることによって、ひとを認めることができるようになる。これからは家族の単位だけでなく、大人からこどもまでが個人の単位ででも社会活動にゆるく参加していけたら、ひとりひとりが居心地のよい社会になっていくのかもしれない。

                  北区まちづくりセンター http://kitamachisen.jimdo.com/

 

 

(文・赤松みさき―高校こくご教師。ずぶの学校校長。)